いま日本中で、リラクゼーションサロン・エステサロンと名の付く店は一体どれくらいあるのでしょうか。
少し前に調べたことがあるのですが、正確な数字は忘れましたが「整体院」「接骨院」など国家資格を有した人が経営するお店なども含めれば、コンビニの店舗数よりも多いと知り、びっくり仰天しました。
これだけの数となれば、当然淘汰の波は高く、ポコポコ独立開業する傍ら、廃業する店舗も後を絶たない状態と言えるでしょう。
ここ30年、日本のGDPは全く上がらず(言い換えれば給料が上がらず)、デフレが長く続いたせいで、適正価格の破壊が「改革」の名のもとに推進されてきた感があります。
理美容店の1,000円カットなどとほぼ同時進行で、エステ・マッサージ業界ももろに波をかぶる形となり、60分の施術で2,980円などという料金設定が長く続いておりました。
現在は3,980円くらいでしょうか。それでも相当な低価格です。
しかし1,000円カットにしろ2,980円もみほぐしにしろ、企業は上手いところに目を付けたものだなあ、と感心します。
これだけ低価格ですと当然多くの人が利用します。薄利多売というわけです。
そしてライバル店同士で価格競争が激しくなり、買収、吸収合併という流れにも結び付きます。煽りを喰らうのは末端の施術者であり、稼ごうと思えば相当な無理をせねばならず、結果、離職率の高い業界の一つとなりました。
しかし、こういう職場はある意味社会の「受け皿」的な役割も果たしていると思います。
学業は終えたものの就職先が中々見つからず、就職しても長続きしない、特段資格があるわけでもなく自分を売り込む先もない、という人たちにとってはサービス業は手っ取り早く社会参加の出来る業界です。
なかでも「手に職の付く、リラクゼーションでもやってみようか」と考える人が後を絶たないのは当然で、年代もさまざまです。
会社を定年退職し、その後この業界に入った人も少なくないでしょう。
途中で脱落する人も多くいますが、この仕事で独立できればどんなにいいだろう、と一瞬でも頭をよぎらない人はいないと思います。
経験を積みながら、少ないながら報酬がもらえるわけですから、一定の期間を終えたら「開業したい」と夢見る人が大勢いても当然です。
結果「リラクゼーション店飽和状態」となります。
私は近隣のいくつかの旅館と契約し、エステやリラクゼーションのスタッフを派遣したり、自らも施術をさせていただいています。
ここ石川県は温泉観光地でもあるので、旅館やホテルが存続する限り私個人としての喰いっぱぐれはありません。
しかし敢えて、個人で店舗を開いたのには訳があります。
(続く